伊豆大島の調査 2016

2016年の記事
 この時に車をとめて伊豆大島へ渡った熱海の方であんなに大きな土砂災害があるとは思いませんでしたが、急勾配が多く、雨も多い日本では、住宅の上流、下流の双方に配慮して家を選択する必要があるのだと改めて感じています。
 

現地調査では、ランドスケープ・プランニングの理論で選定される住宅適地と、実際の災害エリアとの関係性を中心に検証を行います。

土砂災害にあったエリアはかつての農地が住宅に転用された場所であり、地質的にも溶岩流の上に薄く土砂が降り積もった微妙な窪地上の特性を持っているようでした。

科研費の調査として行ったプランニングの実験により複数の案において住宅地の拡大にふさわしいと選定された場所の多くが、実際に安全で美しい住宅地として存続する場所であったことにあらためて住宅敷地の選定や、総合的なマスタープランの重要性を思い知らされる2日間でした。


伊豆大島の図書館では早稲田大学のU研究室が作成した3冊にもわたる大島の環境計画をみることができました。
神戸芸術大学の助手時代にいっしょに瀬戸内海の集落を研究することができた地井昭夫先生が博士課程の学生として参加された報告書に感動するとともに、その内容も私の科研調査に大いに参考になると思っています。

1日目の夕方には三原山の展望台にて、自転車で登ってきた学生に写真撮影を依頼されて話をしているうちに二人とも信大の繊維学部の学生であることが判明し、とても和やかな時間も過ごすことができました。


火山や海底地震、土砂災害を乗りこえたきた伊豆大島は、その厳しい自然の側面だけでなく、美しい自然の恩恵の両方に向き合う大変魅力的な島でした。

追伸:この山頂でのエピソードを同僚に話したら、信大生よ海に行っても山に登るのかと感心してましたよ。